(朝日)
20人が死亡したロシア原潜の事故は、消火装置のシステム自体に問題があったのか、人災だったのかは依然不明だ。ただ事故原潜とみられる「ネルパ」はソ連時代に建造に着手した型の潜水艦。今回の事故でロシアの軍事技術への不信感が高まり、ロシアが力を入れる兵器輸出産業への影響を懸念する声も出ている。
ガゼータ紙などによると、事故原潜は試験航行を終えた後、インド海軍に10年契約のリースで引き渡される予定だった。その額は6億5千万ドル(約646億円)ともいわれる。
インドはロシア以外からの原潜購入は難しいとされ、今回の契約が見直されるかどうか不明だが、価格が安く抑えられたり、将来の契約に響いたりする可能性もある。
インタファクス通信は10日、造船技術者の話として、事故原潜が試験航行に向けた準備をしていた今年7月にも消火装置の誤作動があったと伝えた。消火ガスによる中毒か窒息で死者が出た今回の事故では、規則違反の喫煙が引き金で消火システムが作動したとの説もある。軍人や技術者ら計208人の搭乗は正規定員の3倍近く、それが被害の拡大を招いたともいわれ、軍の規律の緩みや、軍需産業での優秀な技術者の不足を指摘する声も高まっている。
シュカB級(NATOの呼び名は「アクラ級」)の原潜はソ連時代の77年に計画され、イズベスチヤ紙によると、80年代に第三国経由で日本の消音技術を導入し、格段に性能が向上したという。だが、第3世代の「ネルパ」の建造が始まったのは91年。完成まで17年かかっている。
ソ連崩壊後、90年代のエリツィン政権時代は軍事予算が不足し、計画凍結や軍事技術の民間転用が進んだ。そのため高度技術者の流出が起き、廉価な素材を使った潜水艦で水漏れ事故も発生している。プーチン政権以降、軍需産業の統合を図り、兵器輸出を重視してきたが、品質保持が大きな課題となっている。
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